森友学園問題で注目!不動産仮差押って何?
今日3月23日、森友学園の国有地売却問題に関して籠池理事長の証人喚問が行われました。
そしてこの前日、森友学園が所有・運営する幼稚園が、渦中の国有地に建設予定だった小学校の施工業者によって仮差押えをされたことも話題になりましたね。
今回は法律事務員の経験から、今回発生した不動産の仮差押えについて書きたいと思います。
ちなみに過去の記事でも少しだけ書いているので、よかったら読んでみてください。
森友学園の仮差押えの経緯
今回森友学園の幼稚園が仮差押えされたのは、以下の経緯によるものだそうです。
- 森友学園と施工業者は、小学校建設の工事代金約15億5500万円について4回に分けて支払うという形で契約
- 2回分の支払いはしたが、3回目の支払いが予定日にできないことを森友学園から施工業者へ通知
- 施工業者から不動産仮差押命令の申し立てがされる
- 裁判所より仮差押命令が出される
法人同士の契約なので金額はデカいですが、お金を払えないから持っている不動産を差し押さえられたっていう、一般的にも珍しくはないケースかと思います。
不動産の仮差押えって何?
そもそも不動産の仮差押えって何?って話なんですが、読んで字の如く
【「不動産」を「仮」に「差し押さえる」法的手続き】をいいます。
・・・まんま書いただけですね。すいません。
仮差押えについて、民事保全法という法律では、「民事訴訟の本案の権利の実現を保全するための仮差押え・・・」(第1条)とつらつら定めています。
ここでいう「民事訴訟の本案」というのは、いわゆる裁判のことです。
今回の場合、施工業者からしたら「工事代金を払え!」というのが本来の目的なので、
「民事訴訟の本案の権利の実現」=「裁判に勝って工事代金を払ってもらう」
というところにあたるでしょう。
つまり今回の件に沿って言えば、「不動産の仮差押え」=「お金を払ってもらうための裁判を起こすことを前提に、確実に払ってもらうための保険として、裁判前に土地や建物を確保しておくこと」と言えます。
裁判や、裁判後の差押えを「本番」と見ているために、事前の差押えを「仮」差押えとしていると考えられます。
仮差押えすると何が変わるの?
なぜ仮差押えが必要なのかってところにも絡んでくるんですが、一言でいうと、お金に換えられる物が処分されるのを防ぐことができます。
森友学園の問題に照らし合わせると、業者からしたら裁判を起こして勝ったときに、森友学園がお金を払わない上に、学園側にお金に換えられるような物が残ってなかったら困りますよね。
そうならないように換金できるような物を裁判前に仮差押えすることで、裁判に勝って強制執行をする際に、仮差押え以降の処分行為(不動産を売ったり、預金口座からお金を引き出すような行為)を無効にすることができます。
具体的には、仮差押え決定が裁判所から出ると、該当する不動産の登記簿に仮差押えの登記がされます。
(登記についてはこちらをどうぞ。)
この登記がされて以降に不動産が売られても、仮差押えの登記があることで強制執行ができるわけです。
「裁判に勝ったのに払ってくれない、しかもお金に換える物も持ってない」という事態を防げるので、仮差押えの効果は大きいですね。
ちなみに、効果は大きいといってもあくまで「仮」なので、もし住んでいる家が仮差押えされても強制執行までは住み続けることができます。
以上が、不動産仮差押えというものと、その効果のざっくりとした説明になります。
いかがでしたでしょうか?
ちょっと堅い話にはなりましたが、今話題のネタではあるので、知っておいて損はないと思います。
違うところがあるかもしれないのであしからず!
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