ヤマトから明るみに出た運送業界の影。
こんにちは、鈴木くんです。
最近、ヤマト運輸が配達指定時間を制限したり、値上げを行ったりするなど、耐えきれないとばかりに是正に入っていますね。
それを見たからか、日本郵便もネット通販の業者向けに値上げを検討しているんだとか。
僕も新卒で入社したのが運送会社で、現場にいた経験もあるので、いかに運送の現場がしんどい環境かというのは少なからず感じてきました。
今回はそんな経験も踏まえて、運送業界について書きたいと思います。
大体の運送会社は人手不足
今回のヤマト運輸の件、一番の原因はアマゾンと契約したことによる物量の増加とそれに伴う人員不足ですが、そもそも基本的に運送会社はどこも人手不足です。
総務省の調査によると、ドライバー数は2015年度の時点で前年比3万人減の80万人まで減り、その7割が40代以上、うち15%が60代という高齢化も進んでいます。
僕がいた会社でも常にドライバー不足でしかも高齢化していて、新たに入った人もすぐに辞めてしまうような状況が続いていました。
運送会社の待遇は正直悪い
正直言って、運送会社は待遇面がよくありません。
人が集まらない一番の原因はそこにあると思います。
当時、ドライバーの給料を聞いたことがありましたが、基本給だけでは一般的な新卒初任給の足元にも及びませんでした。
そのうえ、拘束時間は長く、朝7時には出勤して荷積みを始め、21時くらいまで勤務している人もいました。
会社にもよるかと思いますが、ドライバーの給料は大まかに、
基本給+配達や集荷の物量に基づいて算定された成果給
をもとに支給されます。
ドライバーとしては成果給の部分でどれだけ増やせるかが大事ですが、運べる量にも限界がありますし、量が増えていくと今回のヤマトのようにドライバーの負担も増えるので荷物量が増えればいいというものでもありません。
運送会社において、ドライバーが最も負担のしわ寄せを受けているとも言えます。
(こんな過去の記事もありました。)
ドライバー不足は運賃競争がもたらした最悪の結末
運送業の収入は荷主から支払われる運賃ですが、以前は運賃値下げによって荷主を獲得するのが普通になっていました。
荷主からすれば安いに越したことはないですし、運送会社としても値下げをして荷物をもらえるなら・・・といった感じで値下げ交渉を飲んでしまうような状況が続いていました。
その結果、最終的に影響を受けるのはドライバーで、荷物が増えて労働時間は増えるのに給料が上がらないという環境を作り、ドライバー不足へとつながっていったのです。
業界全体で運賃値上げの推進と、全ての荷主の協力が必要
ヤマト運輸は今回、大々的なシステム変更と運賃値上げを進めていますが、僕はこの動きが運送業界全体の値上げの流れを加速させるきっかけになればと思っています。
運送業は、社会全体で支えなければいけない産業です。
極論かもしれませんが、運送業が衰退=モノが届かなくなること
ですから、今や当たり前となっているネット通販などは成り立たなくなりますし、個人だけでなく企業間取引にも大きな影響を与えます。
コストの増加は、企業や僕たち個人も影響を受けますが、物流というインフラを安定的に維持させていくためには、社会として支えていかなければいけない産業ではないでしょうか。
運送業界の問題については次のような記事もありますので、ヤマトの件も含め、物流業界について興味を持つきっかけになればと思います。