元法律事務員鈴木くん

もっぱら雑記になってきました。元法律事務員という肩書で書いてますが、関係ないことのほうが多いです。

築地市場の移転問題とテープ起こし。

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2月も後半に入りました。

ここ数年は年明けに最低1回はスノーボードに行っていましたが、シーズンインを待っているうちに春が近づいてきたので今年は諦めています。

来年こそは行きたいものです。

 

今日、築地市場豊洲への移転問題に関して、都議会の主要4会派(自民党公明党東京改革議員団共産党)が調査特別委員会(いわゆる百条委員会)を設置することを確認し、議会運営委員会の理事会でも委員会設置に合意したというニュースが報じられました。

 

百条委員会では、主に市場移転の用地の取得を決めた経緯や、土壌汚染対策の交渉について調査する予定で、3月18日~20日には参考人として、都知事在任中に市場移転を決めた石原慎太郎氏や市場用地の取得を担当していた浜渦武生元副知事を招致する予定だそうです。

 

ちなみに百条委員会というのは、地方自治法第100条に基づいて地方議会に設置される特別委員会で、自治体の事務について不正があったという疑惑がかけられたときに、その疑惑について聞き取りなどの調査をする役割を持っています。調査に当たっては関係者の出頭や記録の提出を求めるなどの権限を持っていて、正当な理由なく出頭・証言・記録の提出を拒否すると、禁固刑や罰金刑を受けるといった罰則もあり、調査においてかなりの強制力を持っています。

 

 

最近だと、同じく元東京都知事猪瀬直樹氏が在任中に徳洲会から5千万円もの金額を受け取っていたとされた際に設置されたり(猪瀬氏は委員会設置の翌日に辞任表明したため結局開かれず)や、大阪府能勢町豊能町でつくられた組合が、ダイオキシン汚染物を神戸市に許可なく埋め立てた問題の際に設置され、前豊能町長が証言を行っています。

 

恥ずかしながら、関西に住んでいるということもあってかあまり関心を持っていませんでした。

昨年に小池百合子都知事が豊洲市場への移転を延期すると発表して話題になったときにも、「なんか揉めてるんだなー」くらいしか思ってませんでした。

でもこの市場移転の話、10年以上も前から進んでいたんですね。

 

最初に豊洲への移転が決まったのが2001年、その後2004年には「豊洲新市場基本計画」が策定されていました(このときの都知事が石原慎太郎氏)。そこから土壌や水質の調査、安全性の懸念による豊洲移転案の代替案の計画もされましたが、2012年には市場移転の費用を盛り込んだ予算が決まり、2014年の新市場建設協議会にて2016年11月7日に豊洲市場を開場する形で正式に決定しました。

 

まさに賛否両論といった中で進み、豊洲側の市場建設も着手されていた築地市場の移転計画ですが、昨年8月に小池都知事が移転延期を発表したことで、移転延期の原因となる色々な問題が明るみに出ました。

 

 

色々な問題?

 

じゃあその色々な問題って何?っていうと、予想外の費用と土壌汚染が大きく挙げられます。

 

予算の問題

 

小池都知事が把握していた計画では約3900億円といわれていた豊洲新市場における総事業費が、約5900億円まで膨れ上がっていたそうです。

 

また、今年1月に発表された市場問題プロジェクトチームの報告によると、豊洲市場から東京都が得られる収益が年間68億円と見込まれるのに対し、支出は施設の減価償却費を含めて166億円となり、年間100億円も赤字になる計算だと言われています。

 

延期している間にも約500万円が豊洲市場の維持費に費やされていますが、豊洲市場を開場したらしたで100億も赤字になったら、何のための市場移転なのかわからなくなりますね。

 

 

土壌汚染までしてるってよ

 

土壌汚染についても、2007年に行われた調査結果で、汚染水や土壌から基準値を超えるベンゼンヒ素などが検出され、その後も水銀が国の指針の7倍以上も検出されるなど大きな公害問題にもなっていますが、なかでも話題になったのは「盛り土」問題ではないでしょうか。

 

土壌汚染対策として、空洞になっている豊洲新市場の施設の地下を盛り土によって埋める計画になっていましたが、新市場の土壌汚染について調査が行われる中で、実際には盛り土はされずに地下空間が空いていることがわかりました。

 

本来の計画ではされるべき盛り土がされなかった今回の問題に関して、盛り土をしないことを決定したとして責任追及・処分の対象とした8人を特定しましたが、「管理職である以上知らないからといって責任逃れはできない」という理由にもとれました。

 

 

こういう時こそテープ起こし!

 

現在は計画決定当時の都知事である石原氏への責任追及にも及んでいますが、「戦犯」が特定しにくいという状況の中での一連の問題について、テープ起こしに携わる人間としては、音声記録を残し、各発言が保存されていればもっと早く責任追及ができたのではないかと思ってしまいます。

 

公的なものであればあるほど、大規模な事業に関わる会議であればあるほど、記録を事細かく残し、当事者や各発言者が特定できるような仕組みを作っておくことで、その後起こりうるトラブルに備えることができるのではないでしょうか。

 

施設設計に関わる会議や、今回特定された8人が発言している場があるのであればその場のやりとりを記録として残していれば(もしかしたらあるのかもしれませんが)、それが公になることで様々な問題が解決に向かうのかもしれない、なんて思うのです。

 

個人的には、会話を記録に残すこと、それを形に起こすことでひとつの役割を持つというテープ起こしの必要性を感じた問題でもあります。

 

もっともっと、テープ起こしが普及してくれればと思います。

 

以上、鈴木くんでした。